ビハール州パトナーで、数学者でもあるアナンド・クマール(Anand Kumar)氏が恵まれない家庭出身の若者たち30名を集め、技術大学の世界的な最高峰であるインド工科大学(IIT)への全員合格を目指して猛特訓する「スーパー30」では、今年の5月末に行われたIIT合同入学適格者認定試験(IIT-JEE)の結果、30名中27名が入学確実の成績で合格した。
今年のスーパー30合格者の背景もまた様々で、いずれも日銭稼ぎでなんとか生活している境遇の出身だ。
ある合格者は、「これで人生が変わる。家族を貧困から救い出すことができる」と涙ながらに話した。
「貧しい商店主である父は、私に早く店を手伝って欲しかったようだったが、野菜や日用品を卸売商から購入するなどして少しでも家計にかかる出費を減らし、それを教科書代にあててきた」
別の合格者は麻痺症を患っているが貧しさから治療もできずにいたが、勉学のみを支えに必死で努力し、見事合格を勝ち取った。
靴磨きを稼業とする家庭出身の別の合格者は、父の仕事を手伝うなどする中、時に理不尽な振る舞いをし、罵倒したり、あるいは料金も支払わずに立ち去る客に対する恨みや悔しさを晴らすには、懸命に勉学に励み、教育によって地位を向上するのみだと悟ったという。
この「スーパー30」は、自身も経済的な理由からハーバード大学への進学を諦めざるをえなかったアナンド・クマール氏が、才能ある若者には社会的背景に囚われルコことなく夢を叶えて欲しいと2001年に立ち上げ、これまで360名の門下生が猛特訓を受け、うち308名がIITに合格した。