インド最高裁は28日、北部ウッタル・プラデーシュ州で長年に渡り、ヒンドゥ教徒とイスラム教徒との間で争いの火種となっていた宗教的な土地の権利を巡る裁判について、判決を出すことを認めた。
今回の決定により、アラハバード高裁が判決を下すための準備が正式に整ったことになる。
木曜日に予定されている判決は敏感な問題に絡むことから、国内では社会的動揺が巻き起こるのではという不安が広がっている。
またこの判決が、10月3日に開会が予定され、既にそのずさんかつ遅延した開催準備の一幕が国際的に不名誉な注目を集めているコモンウェルス競技大会のわずか数日前に下されるということも、懸念要素を添えている。
最高裁はアラハバード高裁が当初判決を予定していた24日の前日、干渉するに至った。
判決はアヨーディヤという町にあるモスク(イスラム寺院)、バーブリー・マスジッド(Babri Masjid)の建つ場所を巡る10数年に渡る訴訟に対し、ひとつの区切りを打つ重要なものとみなされている。
同モスクは、ヒンドゥ教徒側の係争者が、ヒンドゥ神にあたるラーム神の生誕地にあたり、過去に寺院があった場所に建っていると主張している。
一方のイスラム教徒側の係争者は、この場所はイスラム教徒の関係者が占有する権利があり、ヒンドゥ寺院がかつて建っていたことはないと反論している。
モスクは1992年、ヒンドゥ教徒の暴徒により破壊され、それに触発されたイスラム教徒との激しい暴力衝突が国中に伝播し、一時国内は混乱状態に陥った。
この苦い経験をもとに、判決が下ることにより同様の暴動が発生する恐れがあるとして、その動向に厳重な監視がなされてきた。
インド政府も国内に数千人規模の保安要員を配備し、また携帯電話などを介したインスタントメッセージを一時的に使用停止にするよう手配するなど、大規模な警戒態勢を敷いている。
和解による解決の可能性を数回に渡り模索してきた最高裁は28日、陳情者からの意見聴取を行ったが、当事者らに調停の意思はないことを確認している。
Source:India Top Court to Allow Babri Masjid Verdict