オリッサ州の科学者が、米ビル・メリンダ・ゲイツ基金からの資金提供を受けて、蚊の個体の中に生息するマラリア原虫の成長を止めるワクチンを開発している。
11月24付ナブバーラト紙が報じた。
カリフォルニア大学の博士課程で主任調査官を務めているカイラッシュ・パトラさん(44)は今回、同基金が募集していた研究費10万ドルの資金拠出対象者として、3,000名の申請者の中から選ばれた。
「蚊の個体中に生息しているマラリア原虫が作り出す、数百種類のタンパク質を特定している。今回の資金を元に、今後1年以内にマラリア原虫の成長を止めるワクチンを開発し、蚊によるマラリアの媒介を防ぎたい」パトラさんは述べている。
パトラさんによればこの研究が成功すれば、発展途上国においてマラリアによる死者を食い止める最善の方法となる。
現在入手できるのは、ヒトの赤血球や肝臓の中に入り込んだマラリア原虫を殺す薬だが、パトラさんはマラリア原虫の媒介自体を止める、すなわち人体に入らないようにするワクチンの開発を行っている。
「特に医療の遅れている開発途上国などでは複数回の接種は現実的ではないため、1回の接種で免疫力を高められるようにしなければならない」
パトラさんはオリッサ州ヴィクラムデヴ・カレッジ(Vikram Dev College)を卒業後、ベルハンプール大学(Berhampur University)で修士課程を、ポンディシェリー大学(Pondicherry University)で博士号をそれぞれ取得した。
2005年頃より渡米し、テキサス大学にて2年間、博士研修としてマラリアワクチンの研究に当たった。
ある調査によれば、アフリカでは5歳以下の幼い子供たちが1日2,000人、マラリアで命を落としているとされている。